≪新卒過労事故死裁判 原告代理人の意見陳述より≫
■ 第2回裁判期日:7月23日(木)■
10時00分~ 裁判期日 横浜地方裁判所川崎支部第1号法廷(教育文化会館向かい)
10時20分~ 報告集会 川崎教育文化会館 第三会議室
10時00分~ 裁判期日 横浜地方裁判所川崎支部第1号法廷(教育文化会館向かい)
10時20分~ 報告集会 川崎教育文化会館 第三会議室
以下、第1回意見陳述で原告代理人が裁判所に述べた意見陳述です。
第1 事件の概要
本件は、被告会社グリーンディスプレイ(以下、「グリーンディスプレイ」といいます。)が安全配慮義務に違反し、渡辺航太さん(以下、「航太さん」といいます。)に長時間労働を強いて疲労を蓄積させた結果、職場からの帰宅途中に事故死した事件であり、遺族原告がグリーンディスプレイに対して損害賠償請求を求めて提訴しました。
本件は、被告会社グリーンディスプレイ(以下、「グリーンディスプレイ」といいます。)が安全配慮義務に違反し、渡辺航太さん(以下、「航太さん」といいます。)に長時間労働を強いて疲労を蓄積させた結果、職場からの帰宅途中に事故死した事件であり、遺族原告がグリーンディスプレイに対して損害賠償請求を求めて提訴しました。
1 グリーンディスプレイにおける長時間・不規則深夜労働
航太さんは、グリーンディスプレイにおける就労開始当時から、長時間におよぶ不規則深夜労働を強いられて、疲労が蓄積していました。
(1)長時間労働
航太さんは、2013年10月、アルバイトとしての就労開始当時から、週6日フルタイムでの勤務を要求され、1週間連続勤務となることもありました。時間外労働は、100時間を超すこともあるなど、長時間労働は常態化していました。
厚生労働省は、時間外労働が1ヶ月あたり45時間を超えるときは労働者を疲労を蓄積させ、健康を損ない、長期間に渡るほど、過労死として認定されるとの基準を示しています。航太さんは、6ヶ月以上にわたり、過労死に陥り得る過酷な就労環境に従事していました。
(2)不規則深夜労働
さらに、航太さんは、深夜早朝に及ぶ不規則労働に従事していました。これは、航太さんが、日中行われる水やりなどの作業の他、百貨店などの顧客店舗内で草花・観葉植物の設置や飾りつけをするなどの顧客店舗の営業中にはできない作業に従事させられており、営業終了後、深夜から早朝にかけて作業させられていたからです。なお、試用期間中のアルバイトとされていた航太さんは日中から深夜早朝に及ぶ不規則労働に従事させられていましたが、裁判を準備するための調査の中で、他の正社員は日中または深夜早朝の規則的なシフトが組まれていたことも分かりました。航太さんはグリーンディスプレイの従業員の中でも特別過重な労働を強いられていたのです。
徹夜の作業のため、業務終了時間が深夜早朝にわたる時は、電車などの公共交通機関が運転していませんでした。そのため、航太さんは、徹夜労働の後、さらに睡眠時間を削り、1時間かけて原付バイクを運転して帰宅せざるを得ませんでした。
不規則深夜労働は、人間固有の「サーカディアンリズム」という生活リズムに反し、疲労が蓄積しやすいため様々な健康被害に陥りやすいもで、厚生労働省の過労死認定基準でも、考慮要素とされています。
先輩たちは、航太さんに対して、「手がもげても足がもげても働け」「さすが平成生まれだね」など厳しい言葉を浴びせかけました。
それでも、航太さんが、グリーンディスプレイにおける過酷労働に無理をして従事していたのは、正社員としての試用期間として位置づけられていたからです。就職難のなか、航太さんは、正社員として採用してもらうために、無理をして過酷労働に従事し、その結果、恒常的に疲労が蓄積していました。
航太さんは、グリーンディスプレイにおける就労開始当時から、長時間におよぶ不規則深夜労働を強いられて、疲労が蓄積していました。
(1)長時間労働
航太さんは、2013年10月、アルバイトとしての就労開始当時から、週6日フルタイムでの勤務を要求され、1週間連続勤務となることもありました。時間外労働は、100時間を超すこともあるなど、長時間労働は常態化していました。
厚生労働省は、時間外労働が1ヶ月あたり45時間を超えるときは労働者を疲労を蓄積させ、健康を損ない、長期間に渡るほど、過労死として認定されるとの基準を示しています。航太さんは、6ヶ月以上にわたり、過労死に陥り得る過酷な就労環境に従事していました。
(2)不規則深夜労働
さらに、航太さんは、深夜早朝に及ぶ不規則労働に従事していました。これは、航太さんが、日中行われる水やりなどの作業の他、百貨店などの顧客店舗内で草花・観葉植物の設置や飾りつけをするなどの顧客店舗の営業中にはできない作業に従事させられており、営業終了後、深夜から早朝にかけて作業させられていたからです。なお、試用期間中のアルバイトとされていた航太さんは日中から深夜早朝に及ぶ不規則労働に従事させられていましたが、裁判を準備するための調査の中で、他の正社員は日中または深夜早朝の規則的なシフトが組まれていたことも分かりました。航太さんはグリーンディスプレイの従業員の中でも特別過重な労働を強いられていたのです。
徹夜の作業のため、業務終了時間が深夜早朝にわたる時は、電車などの公共交通機関が運転していませんでした。そのため、航太さんは、徹夜労働の後、さらに睡眠時間を削り、1時間かけて原付バイクを運転して帰宅せざるを得ませんでした。
不規則深夜労働は、人間固有の「サーカディアンリズム」という生活リズムに反し、疲労が蓄積しやすいため様々な健康被害に陥りやすいもで、厚生労働省の過労死認定基準でも、考慮要素とされています。
先輩たちは、航太さんに対して、「手がもげても足がもげても働け」「さすが平成生まれだね」など厳しい言葉を浴びせかけました。
それでも、航太さんが、グリーンディスプレイにおける過酷労働に無理をして従事していたのは、正社員としての試用期間として位置づけられていたからです。就職難のなか、航太さんは、正社員として採用してもらうために、無理をして過酷労働に従事し、その結果、恒常的に疲労が蓄積していました。
2 グリーンディスプレイにおける労働と本件事故の因果関係があること
グリーンディスプレイで就労を開始して半年後、2014年3月に、航太さんはようやく正社員として採用されましたが、長時間不規則勤務は続きました。特に本件事故前日の4月23日から、事件当日の翌24日の朝までは、航太さんは約22時間もの長時間勤務に従事しました。
2014年4月24日午前9時12分頃、航太さんは、横浜にあるグリーンディスプレイの事務所から、東京都稲城市の自宅へ、原付バイクで帰宅途中、川崎市麻生区の路上で、電柱に衝突しました。そして、脳挫傷、外傷性くも膜下出血の傷害を負い即死しました。本件事故現場は、見通しの良い直線道路であり、路面は平坦なアスファルトで、乾燥していましたが、航太さんは、左右への回避措置や制御措置を全くとならないまま電柱に衝突したことが分かっています。
航太さんは、グリーンディスプレイの下で、6か月に渡り長時間業務に従事しており、本件事故の1ヶ月前も、徹夜勤務により、時間外労働時間は80時間を超え、疲労が蓄積していました。さらに、本件事故直前の3日前、2日前も、長時間勤務が続いており、最低限の睡眠時間すら確保するのが難しいほど長時間労働に従事していました。さらに、本件事故直前は、24時間近い徹夜勤務の後、睡眠をとることもできないまま、原付バイクで帰路についたのです。
以上の経緯から、航太さんは、本件事故直前、極度の心身の疲労と睡眠不足の状態にあったのは明らかです。その結果、航太さんが、原付バイクを運転して帰宅する途中、睡眠不足や過労から注意力低下、居眠り等の状態となり、本件事故が起きたのです。
グリーンディスプレイで就労を開始して半年後、2014年3月に、航太さんはようやく正社員として採用されましたが、長時間不規則勤務は続きました。特に本件事故前日の4月23日から、事件当日の翌24日の朝までは、航太さんは約22時間もの長時間勤務に従事しました。
2014年4月24日午前9時12分頃、航太さんは、横浜にあるグリーンディスプレイの事務所から、東京都稲城市の自宅へ、原付バイクで帰宅途中、川崎市麻生区の路上で、電柱に衝突しました。そして、脳挫傷、外傷性くも膜下出血の傷害を負い即死しました。本件事故現場は、見通しの良い直線道路であり、路面は平坦なアスファルトで、乾燥していましたが、航太さんは、左右への回避措置や制御措置を全くとならないまま電柱に衝突したことが分かっています。
航太さんは、グリーンディスプレイの下で、6か月に渡り長時間業務に従事しており、本件事故の1ヶ月前も、徹夜勤務により、時間外労働時間は80時間を超え、疲労が蓄積していました。さらに、本件事故直前の3日前、2日前も、長時間勤務が続いており、最低限の睡眠時間すら確保するのが難しいほど長時間労働に従事していました。さらに、本件事故直前は、24時間近い徹夜勤務の後、睡眠をとることもできないまま、原付バイクで帰路についたのです。
以上の経緯から、航太さんは、本件事故直前、極度の心身の疲労と睡眠不足の状態にあったのは明らかです。その結果、航太さんが、原付バイクを運転して帰宅する途中、睡眠不足や過労から注意力低下、居眠り等の状態となり、本件事故が起きたのです。
3 グリーンディスプレイの安全配慮義務違反
会社は、労働者の生命及び健康を危険から保護するように配慮する義務、すなわち安全配慮義務を負っています。
グリーンディスプレイは、航太さんの勤務シフトを作成していました。そのため、グリーンディスプレイは、航太さんが連日深夜に及ぶ業務に従事し、深夜早朝に及ぶ場合は、航太さんが原付バイクで片道約1時間通勤せざるを得ないことを認識しており、過労状態・極度の睡眠不足が原因で本件事故を発生しうることは、十分予測可能でした。
したがって、グリーンディスプレイは、航太さんが極度の睡眠不足になることを予見し、業務の軽減を図るなどの適切な措置を講じることにより、航太さんが極度の疲労状態、睡眠不足に陥ることを回避すべき安全配慮義務を負っていました。
しかし、グリーンディスプレイは、企業利益追求を優先し、安全配慮義務を怠った末、航太さんを死に追いやったのです。
グリーンディスプレイの加害責任は明らかです。
会社は、労働者の生命及び健康を危険から保護するように配慮する義務、すなわち安全配慮義務を負っています。
グリーンディスプレイは、航太さんの勤務シフトを作成していました。そのため、グリーンディスプレイは、航太さんが連日深夜に及ぶ業務に従事し、深夜早朝に及ぶ場合は、航太さんが原付バイクで片道約1時間通勤せざるを得ないことを認識しており、過労状態・極度の睡眠不足が原因で本件事故を発生しうることは、十分予測可能でした。
したがって、グリーンディスプレイは、航太さんが極度の睡眠不足になることを予見し、業務の軽減を図るなどの適切な措置を講じることにより、航太さんが極度の疲労状態、睡眠不足に陥ることを回避すべき安全配慮義務を負っていました。
しかし、グリーンディスプレイは、企業利益追求を優先し、安全配慮義務を怠った末、航太さんを死に追いやったのです。
グリーンディスプレイの加害責任は明らかです。
第2 本裁判の意義と司法の役割
1 遺族のグリーンディスプレイに対する加害責任の追及
本裁判は、未来の希望にあふれた若者であった、航太さんのかけがえのない命が一瞬で奪われた、凄惨な事件です。ご遺族原告の悲しみは計り知れません。奪われた命は、戻ってきません。遺族原告は、本訴訟において、航太さんの命を、お金に変えることを望んでいるのではありません。お金で済む問題ではないのです。
それでも、遺族原告が提訴を決意したのは、決して消えることのない喪失感の中、グリーンディスプレイの加害者としての責任を明らかにし、航太さんの無念を晴らし、航太さんと共に前に進むためなのです。裁判所におかれては、失われた航太さんの命の重み、遺族の決意を受け止めて頂くようお願いします。
1 遺族のグリーンディスプレイに対する加害責任の追及
本裁判は、未来の希望にあふれた若者であった、航太さんのかけがえのない命が一瞬で奪われた、凄惨な事件です。ご遺族原告の悲しみは計り知れません。奪われた命は、戻ってきません。遺族原告は、本訴訟において、航太さんの命を、お金に変えることを望んでいるのではありません。お金で済む問題ではないのです。
それでも、遺族原告が提訴を決意したのは、決して消えることのない喪失感の中、グリーンディスプレイの加害者としての責任を明らかにし、航太さんの無念を晴らし、航太さんと共に前に進むためなのです。裁判所におかれては、失われた航太さんの命の重み、遺族の決意を受け止めて頂くようお願いします。
2 労働者の非正規化と行政の規制の怠り
加えて、本件提訴は、昨今社会問題となっている若者の雇用問題が背景にある事件として、提訴時から社会的注目を受けています。
本件事故の背景として、労働者の非正規化があります。労働者の非正規化が進む中、若者は正社員としての就職を切望しています。グリーンディスプレイは、このような若者の気持ちを利用し、試用期間であるとしてアルバイトとしての就労を求め、長時間過酷労働に従事させ、使い捨てたのです。本件事故の背景には、雇用形態の非正規化の進行と、若者の就職難があります。
また、労働行政の怠慢も、本件の背景にあります。航太さんは、グリーンディスプレイのハローワークの求人票を信頼し、応募したところ、求人票の記載とは全く異なる過酷な労働に従事させられることとなりました。すなわち、求人時に、企業から労働者に対し、虚偽の情報提供がされており、公的機関であるハローワークがそのような虚偽記載を放置したことが原因で、航太さんのような犠牲を生みました。
以上、労働者の非正規化の中での若者の就職難と、企業による若年労働者の使い捨て、そしてこれに対する労働行政の対策の怠慢という、昨今のいわゆる「ブラック企業」問題の被害の極限が、本件なのです。そのため、本裁判は、広く社会的注目を受けています。
加えて、本件提訴は、昨今社会問題となっている若者の雇用問題が背景にある事件として、提訴時から社会的注目を受けています。
本件事故の背景として、労働者の非正規化があります。労働者の非正規化が進む中、若者は正社員としての就職を切望しています。グリーンディスプレイは、このような若者の気持ちを利用し、試用期間であるとしてアルバイトとしての就労を求め、長時間過酷労働に従事させ、使い捨てたのです。本件事故の背景には、雇用形態の非正規化の進行と、若者の就職難があります。
また、労働行政の怠慢も、本件の背景にあります。航太さんは、グリーンディスプレイのハローワークの求人票を信頼し、応募したところ、求人票の記載とは全く異なる過酷な労働に従事させられることとなりました。すなわち、求人時に、企業から労働者に対し、虚偽の情報提供がされており、公的機関であるハローワークがそのような虚偽記載を放置したことが原因で、航太さんのような犠牲を生みました。
以上、労働者の非正規化の中での若者の就職難と、企業による若年労働者の使い捨て、そしてこれに対する労働行政の対策の怠慢という、昨今のいわゆる「ブラック企業」問題の被害の極限が、本件なのです。そのため、本裁判は、広く社会的注目を受けています。
3 過労死事件における司法の役割
航太さんの従事していた長時間労働及び深夜不規則労働は、過労死認定基準に該当するほどの過重労働であり、過労の蓄積の結果、事故死に至たりました。本件は、企業の経済的利益追及によって、労働者の命が奪われてしまった過労死事件として位置づけられます。
「過労死」救済の歴史において、これまで司法が果たしてきた役割は大きいものです。労働行政が、企業の横暴による労働者の「過労死」の救済をなかなか認めないなか、司法が、労働者の命に真摯に向き合った判決を下すことによって、国による救済と対策の道が切り拓かれてきた歴史が、「過労死」の歴史です。そして、長い闘いの末、ようやく昨年、過労死対策の基本法として、過労死等防止対策促進法が成立しました。
現在のところ、過労死等防止対策促進法の対象とする「過労死」は、脳・心臓疾患と、精神疾患による自殺であり、本件のような過労事故死は含まれていませんが、過労事故死は、調査研究の対象とされ、調査の結果によっては、今後の対策が取られる可能性があるものとされています。
近年も、大学病院の医師であった大学院生が帰宅時に交通事故死したという事例において、その原因は過労であったとして、大学病院の安全配慮義務違反が認められた裁判例がありました。このような先例に加えて、本裁判の帰結によって、過労事故も含めた過労死対策を強化させるものになり得るものです。
裁判所におかれては、航太さんの命の重みに真摯に向き合い、本裁判の社会的影響を踏まえて、2度とこのような悲劇を繰り返さないため、司法としての役割を果たすべく審理されるよう切望いたします。
以上
航太さんの従事していた長時間労働及び深夜不規則労働は、過労死認定基準に該当するほどの過重労働であり、過労の蓄積の結果、事故死に至たりました。本件は、企業の経済的利益追及によって、労働者の命が奪われてしまった過労死事件として位置づけられます。
「過労死」救済の歴史において、これまで司法が果たしてきた役割は大きいものです。労働行政が、企業の横暴による労働者の「過労死」の救済をなかなか認めないなか、司法が、労働者の命に真摯に向き合った判決を下すことによって、国による救済と対策の道が切り拓かれてきた歴史が、「過労死」の歴史です。そして、長い闘いの末、ようやく昨年、過労死対策の基本法として、過労死等防止対策促進法が成立しました。
現在のところ、過労死等防止対策促進法の対象とする「過労死」は、脳・心臓疾患と、精神疾患による自殺であり、本件のような過労事故死は含まれていませんが、過労事故死は、調査研究の対象とされ、調査の結果によっては、今後の対策が取られる可能性があるものとされています。
近年も、大学病院の医師であった大学院生が帰宅時に交通事故死したという事例において、その原因は過労であったとして、大学病院の安全配慮義務違反が認められた裁判例がありました。このような先例に加えて、本裁判の帰結によって、過労事故も含めた過労死対策を強化させるものになり得るものです。
裁判所におかれては、航太さんの命の重みに真摯に向き合い、本裁判の社会的影響を踏まえて、2度とこのような悲劇を繰り返さないため、司法としての役割を果たすべく審理されるよう切望いたします。
以上
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