2026年7月7日火曜日

AI導入を理由に解雇ができるのか?(弁護士山口毅大)

  昨今のAIの発展により、多くの企業でAI導入が検討され、実際に、導入後に業務が効率化されたという報道を目にします。

 AI導入によって、労働力不足が解消され、長時間労働が減少するという良い面がある一方で、人員削減をする必要性があるとして、労働者が解雇される危険性があるという負の側面もあるかと思われます。

 実際に、アメリカでは、AI導入に伴い、大規模な解雇等がなされているとの報道がなされています。

 しかし、日本では、労働者に落ち度のない、経営上の理由による解雇については、整理解雇4要件(要素)という基準により、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務、③人選の合理性、④手続きの妥当性といった要件(要素)を満たさなければ、違法、無効となります。

 ですので、単に、AIを導入したことだけを理由に労働者を解雇をすることはできないケースが多いと考えられます。

 もし、AI導入を理由に解雇された場合には、お一人で悩まれることなく、ぜひご相談ください。

2026年2月5日木曜日

非正規雇用労働者の賃金労働条件改善の取り組み

 

横浜では有名なお弁当の会社の、売店で働いている組合員Aさん(無期雇用労働者)の賃金や労働条件、一時金等の交渉を行っていますが、組合員が1名(JMITUの組合は一人でも加入できて会社と交渉できるため)ということもあり、なかなか思うような成果には結びついていません。(それでもAさんがへこたれないのが力ですが)

組合は執行部で手分けをして、川崎・横浜の駅の売店や近くのデパート内の売店などに、チラシとアンケートを配布しています。60店舗ほどあり電車で店舗回りをするため交通費が大分かかってしまい、年に2回ほどしか実施できないのが、つらいところです。(最近、この活動を聞きつけた他の労組から「近くに配布してもよい」と言葉もかけてもらっています。今後実施てきたらいいなと思っています。

アンケートも料金受取人払いを活用して、少しずつですが返信も増えてきています。

アンケートを通してわかってきたことは、「特に一時金が低い、出ない人もいる。」「有休がとりにくい」という問題です。売店の方はほとんどが非正規雇用です。

この会社には労働組合がないため正社員でさえ、賃上げも一時金も「もらってみないとわからない」という状況です。社員の一時金の実態はわからないものの売店員さんは出ても数万円程度です。会社は「雇用形態が違う、責任が違うから当然」と言っていますが、あまりにも少なすぎます。

また、多くの店舗が3名で3交代という就業形態です。早番・遅番・公休を3日・3名で交代です。有休を取るには3名のローテイションの調整でしか取れず、有給分の賃金は出るものの実質的には公休とは別に有給休暇が取れない状況です。しかも盆暮れなく365日休みなしです。

組合としては、支援者・組合員を増やしていくことが課題です。

 

JMITU 細谷

2025年10月14日火曜日

横行する退職妨害(弁護士山口毅大)

 適法に退職した労働者に対し、退職したことを理由に、使用者が退職した労働者に対し、損害賠償請求をするケースがあります。
 しかし、このような請求が認められないことはさることながら、訴訟に至った場合には、使用者側の提訴自体が、訴権の濫用として、違法となり、逆に労働者がこのような不当訴訟を起こしてきた使用者に対して、損害賠償請求ができる場合もあります。
 また、退職の意思表示をしても、代わりの労働者を連れてこないと辞めさせない等と言って、退職をさせないように妨害する使用者もいます。
 ですが、代わりの労働者を見つけてこなくとも、退職をすることができます。
 残念ながら、退職妨害関係の相談が一定数寄せられていますので、もし、お悩みでしたら、ご相談ください。

実現したい安心の介護(中村 剛士)


若者ネットワーク宮前は223日に「実現したい安心の介護」という題で神奈川県保障推進協議会事務局長の根本隆さんのお話を聞きお茶を飲みながら語り合う企画を行いました。

 参加者は14人でお茶やコーヒー、お菓子などを用意し終始和やかな雰囲気でした。

 最初に介護保険の制度がある国は日本、韓国、ドイツ、イスラエルだけであり台湾は導入を目指したけど断念、ドイツは医療と一体で運用していると話されました。

 介護保険は社会保障制度の一つのため社会保障制度の成り立ちと変化について話されました。

社会保障制度は憲法25条に基づく制度ですが2000年代に作られた制度からは憲法の規定も記載されておらず、さらに20128月に民主、自民、公明の三党合意で成立した社会保障制度改革推進法で国の責任から個人の自立の支援にすり替えられ、安倍政権時代には年金が5兆円も減らされたということでした。

 次に介護保険の成り立ちと現状について話されました。介護保険は2000年にスタートし介護の社会化を目的に始まりましたが、原則に対して実態がともなっておらず介護には認定を受けなければならないとか認定を受けるには時間がかかるということを話されました。

 介護保険の財源と仕組みについて介護保険給付費のうち国は1/4しか払っておらず利用者がサービスを使えば使うほど保険料負担が増えること、要介護度に応じてサービス内容や利用限度額が制限される制度で最初から「保険あって介護なし」といわれていたこと、介護保険利用者が650万人に対して保険料を払っているのは7600万人もいることなどが話されました。

 訪問介護の介護報酬について一部大手事業者や建設会社が行っている高齢者住宅併設型の在宅介護施設が収差率を引き上げたため国は介護報酬を引き下げたことを説明していました。そのため一般の訪問介護施設の36.7%が赤字であり介護施設の倒産も相次いでいるそうです。

 市区町村介護保険事業計画の介護予防・日常生活支援総合事業について資格持ったヘルパーが行う従前相当サービスと資格を持たない人が行う緩和サービスがあるが全国的には従前相当サービスの利用者が多数を占めていること、神奈川県の市区町村別にみると川崎市が緩和サービスの利用者が100%になっていることが話されました。

 川崎市では講習等を行っているにもかかわらず緩和サービスを担当する人が集まらず、資格を持ったヘルパーが緩和サービスを行っているため介護報酬が従前相当よりも低く苦しくなっているとの補足がありました。

 現在介護請願署名を進めており制度改善、介護報酬の底あげ、改悪阻止、処遇の改善を求めているとのことでした。

 講演の後は質疑応答となり、実際の介護の相談等がありました。

 

2025年1月20日月曜日

社会保険未加入な事例(児玉桃太郎)

 

月にある都市でのお話です。

 

Aさんは個人輸入した治療薬を使用していましたが持病の症状は徐々に悪化し、ある日路上で倒れ救急搬送されました。2週間の入院の必要があり、病院から収容地での生活保護申請の一報を行いました。

もともとAさんは観光業に就いていました。2020年の新型ウイルス感染症の『社会的流行』により人と人との関係、交流、往来は分断され、インバウンド景気で湧いた街は一転しました。非正規で働くAさんの仕事は簡単に奪われます。治療費の捻出ができず既往の持病に苦しみ、職に就けず、家賃は滞り、住居を失いました。

生活保護の受給を開始し、Aさんは経済的な自立を目指してアルバイトを始め、職業訓練に通い始めます。しかし居住地から遠方の職業訓練校とアルバイトの二重生活となり、遅い終業はAさんの足をネットカフェへ向けます。生活保護は失踪廃止、ネットカフェで夜を過ごすようになりました。Aさんは連日同一の職場にも関わらず『日雇いアプリ』を通じて働かせられているため社会保険からは排除されていました。また、住民票を抹消されたため国民健康保険の手続きもできない状況になっていました。

 

Bさんは退勤途中の路上で倒れ込み救急搬送されました。そのBさんはその数日前から頭痛を訴えていましたが、それまでにも容姿を理由になかなか職に結びつかないことを経験していたBさんは無理をしてその日も出勤しました。緊急手術の結果一命は取り留めたものの四肢の麻痺という重い障害が残ることになりました。Bさんは同じ現場で10年間同じ仕事をしていました。しかし、派遣会社を定期的に変更し個人請負の形を取らされ、社会保険からは排除されていました。入院となったBさんには高額な医療費がかかる一方で、所得保障が受けられない状況にありました。生計をほとんど共にしていない同居家族がおり、わずかに生活保護基準を上回るために生活保護にも該当しません。また重い障害を負ったが故に自宅にも退院することが困難となり、帰る先に窮することとなりました。

 

Aさんは退院先として賃貸物件の調整を試みましたが、失踪廃止の前歴により認められませんでした。某市の簡易宿泊所火災事件以降、帰住先のないケースは福祉施設などの利用を経て、賃貸物件などの居所を調整することが多くなっています。しかし施設では集団生活となり、一定の窮屈を強いられるため、案内を受けて行方しれずになる方も少なくありません。Aさんも「ネットカフェの方がまだ自由で設備もいい」と訴えましたが、住まいではないネットカフェでの保護の継続はできないと判断されました。Aさんは結句退院後福祉事務所には現れずネットカフェに戻ったようです。

 

Bさんは入院後一定期間過ぎたのちに世帯の分離による生活保護申請を試みましたが「Bさんを含む場合に世帯が生活保護となり、Bさんを分離した場合に世帯が生活保護とならない場合にのみBさんを世帯から分離し、単独世帯として取り扱う」とそれ以上には進めませんでした。Bさんが支えるべき社会保障制度を支える状況にあれば選ぶことができた選択肢は残念ながらBさんには与えられませんでした。

 

脆弱な就労状態を許容する法、予算ありきの公的扶助、幸福不追求、居住・移転の不自由、便利そうな電子アプリ、環境汚染、ヘルスリテラシー、愛情…etc.この社会にある多重の差別、排除、周縁化、疎外、孤立が、ある人の心理的・身体的健康状態に影響を与え、私たちの前に立ち現れます。ひとつひとつの支援では既存資源を最大限活用し切る他ありませんが、この全人的な痛みの緩和を行うに、あまりにこの社会は未熟(資源、社会には『私』を含む)ですから、私たちは『共感する他者』として、目の前の傷つきやすい人間と顔を突き合わせ続けなくてはなりません。それは成熟した社会を目指す行動とともに。

2024年8月5日月曜日

頑張らないとあなたの職場は良くならないのか

 


 

 NPO法人ワーカーズネットかわさきのホームページ、さらに奥底のワーカーズネットブログに辿り着いていただきありがとうございます。

 私自身は大学院で労働運動を研究した身なのですが、まだ自分の専門性を信じることができないので、ここでは、働き方に悩みつつ、それでも生きるために日々懸命に働く皆さんへのお手紙を書きます。

 私は大学院修了後、正社員として働きはじめました。初めの1年ほどは、充実感で暑い日も寒い日も気にならないほど職場に通い詰めて、自分の存在意義が発揮できているとさえ感じていました。

 1年を過ぎたあたりから、色々な事があってだんだんと職場のデスクにいることが耐えられなくなり、寒さや暑さを言い訳にして早退や遅刻が増え、次第に欠勤が目立つようになり、とうとう職場に行けなくなってしまったのです。

 「自分なんかは大して苦しんでいなくて、世の中にはもっと大変な状況で頑張っている人はたくさんいる」。そう考えると、なんて自分は怠惰で甘えているんだろうかと、布団の中で自己嫌悪に陥る日々でした。

 仕事に行けなくなってからは数か月休んで、結局「自己都合退職」しました。そのあと何とか見つけた中小企業の営業の仕事もパワハラで数か月と持たず再び「自己都合退職」。正社員として働く能力が自分には無い気がして、現在に至るまで、非正規労働者としてアルバイトを転々としています。

 労働組合について学んだ身なのに、私は職場と闘うことはほとんどしませんでした。なぜなら、これ以上頑張れなかったからです。これ以上ふり絞っても、気力も体力も出てきませんでした。

 職場改善するには、闘わないといけない。それはとても勇気がいるし力をふり絞らなければいけません。闘わなければその職場はすぐには良くならない。

 そんなこと分かっていても頑張れない、踏ん張れない人もたくさんいることでしょう。生活のために日々懸命に働いて、働くために生きているような毎日を送る人にとって、「頑張れ」ということは酷だとも思っています。だから「逃げ」は積極的に肯定されるべきだし、気力が戻るまで大いに休養してほしいです。

 そして、少しずつ気力が戻ったときに、一緒に闘いましょう。一人では困難な闘いも味方をつけて、集団で取り組みましょう。一朝一夕で劇的に職場の労働環境を改善できるわけではありませんが、職場改善への歩みは確実に進んでいきます。

 共に行動できる日を心待ちにしております。

 

 

NPO法人ワーカーズネットかわさき理事

立野 ちひろ

 

 

2024年6月8日土曜日

JMITU川崎支部の活動紹介

 

 私は、JMITU川崎支部という労働組合に所属しております。労働組合として、ワーカーズネットかわさきに組織加盟しています。
 今回は、月に1回行っている、私たちの活動を紹介します。
 まず宣伝活動についてです。奇数月は、登戸駅連絡通路にて第2または第3土曜日の朝10時から1時間『未組織労働者向け』の宣伝を、また、偶数月には、組合事務所のある南武線久地駅で月末の水曜日、夕方5時30分から同じような宣伝活動を行っています。宣伝の中身は、春闘・一時金・秋闘などの取り組みや時給1500円の最低賃金実現の取組み、労働相談の照会・組合づくりなどです。
最近は、『希望を持って働き続けるために』という組合パンフレットと組合紹介カードを入れたティッシュを用意して70~80枚の配布を行っています。
 次に、労働相談についてです。毎週土曜日午後1時から5時まで、組合事務所でも労働相談を行っています。

見かけましたら、ぜひ激励を!

ワーカーズネットかわさき 理事 浅岡

2024年5月20日月曜日

NPO法人ワーカーズネットかわさきで活動する弁護士が解決した事件が報道されました。

 

NPO法人ワーカーズネットかわさきで活動する弁護士が解決した事件が新聞等で報道されました。

【事案】

神奈川県川崎合同庁舎1階電気室で警備員が感電死した事件で,遺族が神奈川県及び警備会社に対し,安全配慮義務等があったとして損害賠償請求をした事案。裁判所から神奈川県及び警備会社において法的責任があることを前提とする和解勧告があり、解決金3800万円で和解(勝利的和解)。

【報道】

川崎・警備員感電死訴訟 「息子の死 無駄にしないで」 和解の遺族、再発防止徹底訴え:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

NPO法人ワーカーズネットかわさきでは、労働者や労働者のご遺族の権利を守るために、そして、痛ましい事故が二度と起こることがないように再発防止のための活動もしております。

ぜひお気軽にご相談ください。


2024年4月15日月曜日

専修大学寄付講座「実践知としてのワークルール入門」を毎年開講しています(弁護士林裕介)。

 専修大学で、寄付講座「実践知としてのワークルール入門」を毎年開講しています。
 
 この講座は、当団体に所属、関係する弁護士、労働組合員、社会福祉士など、各分野の専門家が講師となり、実際に経験した事例などをあげながら、単なる知識でなく、今日からでもすぐに利用できるような形でのワークルール(労働法)の習得を目指すものです。

進め方としては、ケーススタディやグループワークなどを重視しています。働き方やその改善方法などについては、必ずしも1つの正解があるわけではないので、皆で意見を出し合い、そして考えながら、楽しく実施しています。

当団体の活動は、このようにワークルールを一緒に学ぶ、ということを柱の1つとしています。これは、自身の働き方に少しでも違法・不当な点がある場合に、まずはその違法性・不当性に気づくことができるようワークルールの知識を身につけていることが重要だと考えているからです。

このようなワークルール関係企画は、専修大学寄附講座以外にも実施していますので、改めてみなさまにご案内したいと思います。

2024年2月12日月曜日

雇用形態の違いによる格差を無くそう

 

 昨年から「シュウマイの崎陽軒」の駅売店で働く組合員の賃金、一時金、労働条件・労働環境改善の交渉をはじめました。

 組合員は、十数年前から非正規雇用で働き、数年前に無期雇用になりましたが、一昨年まで賃上げ無しで、昨年初めて賃上げが有りました。昨年の年末一時金(ボーナス)は7万円でした。フルタイムで3日間の交替勤務(早出、遅番、休日)で盆休みや正月休みも無しで働いています。雇用形態の違いでこれほどまでの賃金格差が生じています。ただこれが、崎陽軒だけ特別とは 言えない現状があると思います

 また、無期雇用契約は雇用が確保されるだけで、フルタイムで働いていると「パートタイム・有期雇用労働法」が適用されないと言われています。

 こうした不合理を無くす為に、行動していきましょう。

 

JMITU川崎支部 細谷

2023年11月7日火曜日

メーデー要求交渉

 

去る7月31日にメーデー要求交渉を川崎市と行いました。

多岐にわたるメーデー要求にもかかわらず、川崎市は交渉時間を感染対策を理由に1時間とし、内容についても制限をかけようとする対応をしました。そのことについて全く納得のいくものではありませんが、労働者の諸要求を伝える場を無くしてはならないため、今年は交渉時間の制限のある中で行いました。

実行委員長として交渉の冒頭には概ね以下のように挨拶を行い、交渉を行いました。

 

「メーデーは皆さんのご存じのように、労働者の労働環境の改善、権利の獲得のための祭典です。労働者はメーデーに諸要求を持ち寄り、その実現のための具体的行動を起こします。

さて、この度のメーデーで持ち寄られた諸個人・団体の要求は今日この場において今一度確認をしたいと思います。いままでもメーデー要求としてあげられた、労働者・市民の声を受け止め、市政に活かし、よりよい川崎市の実現に向けた取り組みをされていることに敬意を示します。それは形式的なものではなく、私たち労働者・市民一人ひとりの生活に目を向け、声に耳を傾け、変革に邁進されてきた皆様の実践であると思います。私たち川崎の労働者、市民は皆さんがより良い市政を行うことで、私たち自身の安心して暮らせること、生活が容易に脅かされないことを求めたいと思います。そのために日々、私たち労働者、市民の声によく耳を傾け、労働者、市民の生活の向上に資するお仕事にまい進されている皆さんに、改めて私たちの要求について耳を傾けてほしいと思います。また日々どのようにしたらこの川崎の市民の暮らしはより良いものとなるのか、悩まれている皆さんのお仕事のきっかけとして、私たちの声に耳を傾けてほしいと思います。

今日ここに持ち寄られた様々な要求、多岐にわたる要求こそ、人間は多様な側面を有し、かつ固有の尊厳を有していることを示しているように思います。そして、人間の生活は多様な社会的なリソースによって支えられ、脅かされうることを示しているように思います。今日ここで挙げられる、どの要求にもそれぞれ重要な価値が含まれていること、それはそれぞれの市民の声であり、それぞれの労働者、市民の生活からの訴えであることを受け止め、今後のよりよい市政の取り組みをしていっていただきたいと思います。」

 

私たち労働者の祭典メーデーは来年も私たちに開かれています。

川崎市との交渉のあり方については方法や内容の工夫を行いながらも、その効果が最大化されるように今後も行います。またそのためにもより多くの仲間と共に取り組み、運動をより大きなものにしていかなくてはならないと思っています。現在繋がり合っている仲間と共に、これから出会う仲間と共に、連帯をより広げていくことが一に求められます。この苦難な時代にこそ共に声を挙げ、要求の実現をしていきましょう。

 

川崎労働者組合総連合議長・第94回川崎メーデー実行委員長 児玉桃太郎

2023年4月13日木曜日

「マタハラ」は,違法! 泣き寝入りをせずに,ご相談を!!(弁護士山口毅大)

 みなさん、「マタハラ」は、ご存じでしょうか。「マタハラ」とは,マタニティハラスメントのことで一般に,妊娠・出産に伴う労働制限・就業制限・産前産後休業・育児休業によって業務上支障をきたすという理由で,精神的・肉体的な嫌がらせを行う行為のことを指します。①妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱い,②妊娠・出産・育児休業に関するハラスメント(制度等の利用への嫌がらせ型,状態への嫌がらせ型)という整理がなされています。このようなマタハラは,民法,労働基準法,労働契約法,男女雇用機会均等法,育児・介護休業法等に反するもので,違法です。

 数年前よりも、だいぶ「マタハラ」が知られるようになってきました。ですが、今もなお、「マタハラ」が横行している現状があります。

 実際に、労働者が、産休、育休を取得すべく、使用者に連絡していたものの、出産後、解雇されていたということが発覚したというケースがありました。LINEのやりとり、録音等の証拠があったため、使用者がマタハラをしたとして、使用者の法的責任が認められました。このように,会社とのやりとりは,メール,LINE,録音などによって,きちんと残して置くことが大切です。また、退職するつもりがなく、法的責任を追及する場合には、安易に退職届を出さないようにしましょう。さもないと、就労の意思がない、退職することについて合意があった、適法に退職がなされたということにもなりかねません。

 「マタハラ」は,違法ですので,泣き寝入りをせずに,ぜひお気軽に弁護士や労働組合にご相談ください。

2022年6月20日月曜日

エッセイ(藤井光子)

 ★ロシアによるウクライナ侵略が始まって4か月弱が過ぎ、痛ましい戦争の現実に胸が潰れる思いですが、国連やEUなどのニュースを見ていると驚きます。北欧4カ国フィンランド、スウェーデン、デンマーク、アイスランドの首相は女性です。ノルウェーも昨年まで女性首相。★さらに、ニュージーランド、のアンダーソン首相は在任中に妊娠・出産をしながら首相を務めている人です(世界初)。ウクライナの状況を伝える各国首脳や報道官として登場する女性のなんと多いことか!存在感を発揮しています。ドイツのメルケル首相だけではなかったのだ…と今更ながら驚くのです。★比べて日本はどうでしょう? 日本の女性議員比率はなんと世界で166位/9.9%(衆院)。ジェンダーギャップ指数は120位/156カ国中という低さ。「女性活躍」と、かけ声は美しいけれど政府与党の顔ぶれはほとんど男ばかり。女性の姿を想像することも難しい。★非正規雇用で働く女性は男性の3倍、男性と女性の生涯賃金格差は1億円!★ニュースを見ながら改めて気づく日本のジェンダーギャップ。女性議員も増やさなくては…。

特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律の施行とその概要、相談先について(弁護士山口毅大)

2021年6月9日、議員立法により「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、2022年1月19日に完全施行されました。

 法の趣旨において、石綿にさらされる建設業務に従事した労働者等が、石綿を吸入することにより発生する疾病にかかり、精神上の苦痛を受けたことについて、最高裁判決等において国の責任が認められたことに鑑み、被害者の方々へ損害の迅速な賠償を図る旨が述べられています。

当法人に所属する弁護士も建設アスベスト訴訟弁護団の一員として、最高裁判決を勝ち取りました。

給付金制度、相談先の詳細は、こちらのURLをご覧ください。

建設アスベスト給付金制度について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

建設アスベスト訴訟全国弁護団 (asbesutos-syutoken.com)

2022年4月5日火曜日

米アマゾンでの労働組合結成(兵頭淳史代表理事)

 

 発生から2年が経過してなお収束しないCOVID-19パンデミックと、ロシア・ウクライナの戦争が、世界のニュースを席捲し続けていますが、そんななか、労働の世界において注目すべきニュースがアメリカから飛び込んできました。米国発の多国籍通販企業アマゾンの米国内事業所で初めて労働組合が結成されたというニュースです。

 4月1日、ニューヨーク市スタテン島のアマゾン物流拠点JFK8で、組合承認の是非を問う投票の結果、賛成多数で組合結成が承認されました。これにより、米国内のアマゾンに初めて団体交渉権をもつ労働組合(Amazon Labor Union)が生まれることになったのです[1]

  アメリカでは原則として、全米労働関係委員会の管理の下で、当該事業所で働く労働者による投票が行われ、その結果過半数の支持を得ることができなければ、団体交渉権をもつ労働組合は存在できない制度になっています。そして、アマゾンのような有名企業も含め、少なからぬ企業の経営陣は徹底した反労働組合姿勢をとっており、その企業で労働組合結成の動きが起これば、この組合承認選挙で反対票が上回るよう様々な対抗策を講じます。アメリカの労働組合組織率が非常に低い(10%程度)のは、事業所に労働組合を結成しようとする動きの前に立ち塞がる、こうした制度的な壁と、経営者の反組合姿勢の現れとも言えます。どんな少人数でも団体交渉権をもつ労働組合を結成することができ、経営者は、極少数のからなる労働組合であっても団体交渉に誠実に応じる義務が生じる日本との大きな違いです。他方で、アメリカの労働組合が、日本の労働組合と比較したときなど、非常に活発で戦闘的なのは、このような厚く高い壁を乗り越え結成されるというプロセスとも関係するのかもしれません。

いずれにせよ、新自由主義的グローバリズムの象徴であり、現代的低労働条件・不安定就労の象徴でもあるアマゾンの「本家」において戦闘的な労働組合が出現したことの、全米、そして世界へのインパクトはきわめて大きいと言えるでしょう。米国アマゾンにおける労使関係の今後には大いに注目したいところです。

そして同時に、私たちは自らの足元・日本においても、この市場を席巻する「便利な」巨大物流拠点で働く人たちの状況にあらためて目を向けてゆく必要があります。この国でも、彼/彼女らこそ、労働組合や労働相談を通じた問題解決や条件引き上げを、客観的には最も切実に必要としている労働者であろうと思われるからです[2]



[1] ただし、44日付の報道では、アマゾン経営者はこの投票結果について異議を申し立てる意向とのことであり、正式な組合承認はこの異議申し立てが却下された後になる可能性がある。

[2] 横田増生『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』朝日文庫、2010年など参照。

2022年4月4日月曜日

ジェンダー平等の花ひらかせましょう

  4月になりどこも桜が満開、そして花冷えの雨。もうしばらく桜は楽しめそうです。
 「ジェンダー平等」も、桜の花ほどではないけれど、ここ数年認知度が上がってきました。
 2021年新語・流行語大賞のトップ10に「ジェンダー平等」が入りました。最近はテレビや新聞でジェンダー平等の言葉を目にしたり聞いたりしない日はなかったのではないでしょうか。まさに「ジェンダー平等」を理解しないで社会を語れない、なんてことになりつつあるのでは?

 しかし、私たちの日常は言葉の広がりほど差別のない社会になっていないのが現状です。
 国連が「婦人に対する差別撤廃宣言」を採択したのは1967年。そして1975年を「国際婦人年」と宣言して、女性への差別を世界中からなくそうと、1976年~1985年を「国連婦人の10年」しました。(かつては「婦人」という言葉を使っていました)

 その間の1979年に女性差別撤廃条約(正式名:女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃に関する条約)」が国連総会で採択されました。

 日本は1980年にこの条約に署名して、1985年に批准しました。批准するために「国籍法」「戸籍法」の改正、「男女雇用機会均等法」の制定、「家庭科の男女必修など」の法制度を整えて批准したのです。

 しかし、1985年から現在まで37年も経っているのに、ジェンダー平等はどれほど実現しているのでしょうか。

 この頃盛んに言われていることは、

男女の賃金格差は生涯で1億円。

非正規雇用を含める平均給与 男性532万円 女性293万円

10/31 衆議院選挙結果 女性議員割合 9.7%(45人/定数465人・女性候補者186(17.7%)

ジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム2021.3.31発表)

日本のジェンダー指数 120位(156カ国中) 先進国の中で最低水準

女性国会議員 166位(193カ国中

女性管理職 最下位(G7

 世界各国の動勢を伝えるテレビのニュースを見ていると、女性の閣僚や報道官の姿が目立ちます。
 比べて日本は、ほぼ男性一色。まだまだジェンダー平等の社会は遠い! 女性活躍なんて言葉だけに終わらせないために、そしてどんな働き方をしていても、誰もが普通に生きていける社会にする
ために、ジェンダー平等の実現を!

川崎の男女共同社会をすすめる会 藤井光子

若者ネットワーク@宮前の紹介

 皆さん、こんにちは。今日は若者ネットワーク@宮前のご紹介をいたします。


 若者ネットワーク@宮前(以下「若者ネット」)は川崎市宮前区で労働問題を通じて若者とつながり、支援するために発足した市民団体です。2019年12月に総会を行い、
14名の会員で発足しました。2021年12月現在の会員数は28名です。若者ネットはワーカーズネットかわさきの団体会員になっています。

 会長は私、中村剛士です。またアドバイザーにワーカーズネットかわさき副代表理事の山口毅大弁護士が就任しています。

 いままで以下の活動を行いました。
  1. アンケートの配布
    「働く若者アンケート」をワンルームマンションやコンビニに配布しました。アンケートにあるQRコードをスマートフォンで読み込ませることで回答を行うことができます。
    これまで何名かに回答を頂き、結びつきを持つことができました。
  2. 街頭での働きかけ
    2021年の2月に宮前郵便局の門前で門前宣伝をおこないました。最高裁判決を力に非正規労働者の均等待遇を求めるチラシを52枚配布しました。
  3. 講演会の実施
    2021年の2月と5月にコロナ禍の下、苦しくなる若者の生活の実態について講演を行いました。また、2021年の4月には「若者学習講座 地球温暖化と若者に未来」、
    6月には「草の根から変革を求めるアメリカの若者」と題して講演会を行いました。
  4. 若者交流紙「コムシス」の発行
    宮前区に住み、働く若者の要求や関心ある問題を交流し、労働環境の改善や取り組みを発信する若者交流紙「コムニス」を発行しました。当初、春・夏・秋・冬号
    の年4回発行する予定でしたが、夏号は2000部印刷し、若者が住むと思われるマンションを中陰に配布しました。秋号は1500部印刷しましたが、会員が
    総選挙などの取り組み匂われる中で、配布できませんでした。「コムニス」の内容とともに、発行体制と配布体制の整備が課題になっています。
  5. 学習会
    労働法の学習会を4回行いました。

 今年は以下の活動を行う予定です。
  1. 働く若者アンケートの実施
    21年から地域労組「みのり会分会」と協力して準備してきた「福祉職場に働く労働者へのアンケート」を実施します。このアンケートは社会福祉法人「みのり会」に働く
    労働者を対象にしたもので、地域労組「みのり会分会」が主体でとりくむもので、若者ネットはその取り組みを支援します。
  2. 若者の交流を促進する若者交流会の実施
    若者ネットワーク@宮前は青年の参加者ゼロの状態でスタートしましたが、「若者ネット」の活動や催しに参加する青年が5人になりました。そうした若者に参加して
    もらい、どんなテーマで若者交流会や若者学習会をしたらいいのかなどについて、自由に発言してもらい、若者の知恵を生かした若者結集の方向を探求します。
  3. バーベキューなどの楽しい交流企画
    コロナ禍で企画化できなかったバーベキューなどの「若者の交流の場」を企画し、楽しく若者が交流する中で、若者結集の契機を作る企画を重視します。
  4. 子育て世代との結びつきの強化
    宮前区で子育て世代との結びつきを強めている経験が生まれています。その経験に学んで、若者ネットとして、新婦人など他団体とも協力して、子育て世代との結び
    つきをどう強めるかについて探求していきます。
  5. 労働相談、若者学習講座の開催
    働く人たちの結びつきをサポートするワーカーズネットかわさきの弁護士、専門家とも協力し、街頭労働相談の開催、働くルールや地球温暖化、大学学費問題など
    若者の要求・関心にこたえる学習会などを適宜開催します。労働法の学習会は引き続き継続してすすめます。
  6. ホームページの開設
    若者ネットの活動と働きやすい社会実現に向けての情報を発信するためのホームページの開設を検討します。

以上、活動を始めてまだ2年ですが皆様お引き立てのほどよろしくお願いいたします。

2022年3月7日月曜日

東芝事件解決について(弁護士林裕介)

当法人理事も弁護団として加入していた、東芝事件について、解決のご報告をします。

2018年に、東芝は、原発事業での失敗を契機としリストラ計画(5年間で7000人削減)を開始し、その下で、子会社である東芝エネルギーシステムズ株式会社(「ESS」)の従業員であった小里さん(25年以上、IT業務等、専門的業務に従事)は、同社からの退職勧奨を受けました。そして、小里さんがこれを拒否したところ、同社は小里さんに対し、単純・肉体労働(倉庫内労働等)を行う勤務地への出向・配転命令を行いました。

このような不当な処遇に異議をとなえ、小里さんは、自身のキャリアを十分に活かすことのできるIT関連業務への職場に戻し、適正な処遇を求めて、2020年に訴訟を提起し闘ってきました。

そして、訴訟を通じて小里さんは、20222月に、もとの業務に確定的に戻るという結果を勝ち取るに至りました。この結果は、ひとえに、小里さんが勇気をもって立ち上がったことと、支援する方々の存在によるものです。

企業においては、そこで働く者のキャリアや尊厳を損なうことのないよう十分配慮し、労働者個々人を大切にするよう切に求めます。

 

https://www.asahi.com/articles/ASQ216KBBQ21UTIL01C.html

https://www.kanaloco.jp/news/social/article-821131.html

2022年1月30日日曜日

東京新聞に「寄付講座」が掲載されました!(弁護士川岸卓哉)

 NPO法人ワーカーズネットかわさきが専修大学で開講している寄附講座「実践知としてのワークルール」の様子が東京新聞で掲載されました!  ワーカーズネットかわさきでは、昨年度から、弁護士、労働組合、ソーシャルワーカーなどが、ワークルール教育を実践しています。

 この回では、過労死家族会の渡辺淳子さんに実態を語ってもらい、グループワークで過労死について学びました。ご遺族の真剣な訴えに、学生たちも、どうしたら過労死をなくせるのか、議論をしました。この講座が、社会に出たときに、学生たちを守り、働きやすい社会を作る力になれように、NPOの講師一同頑張ります。

2022年1月25日火曜日

新型コロナウイルス感染症の影響で長時間労働を強いられる事案

  新型コロナウイルス感染症の影響で、解雇された等というご相談がある一方で、長時間労働を強いられているというご相談も少なくありません。

 長時間労働は、労働者の心身の健康に悪影響を及ぼします。

 そのため、労働基準法によって、労働時間規制がなされています。

 ですが、実際には、長時間労働が横行しています。

 長時間労働(例えば、1月あたり100時間を超えるような時間外労働、6か月にわたって1月あたり80時間を超えるような時間外労働など)によって、脳・心臓疾患を発症し、死亡してしまった場合には、労災申請をすることによって、遺族補償給付等を受けられる場合があります。

 長時間労働やパワーハラスメント等で適応障害、うつ病等といった精神疾患を発症した場合にも、休業補償給付や療養補償給付等を受けられる場合もあります。

 使用者に対し、安全配慮義務違反や不法行為があったとして、損害賠償請求することができる場合もあります。

 お一人で悩まれることなく、ご病気になる前に、あるいは、大切な方がお亡くなりになる前に、ご相談ください。

                                     山口 毅大