2016年5月16日月曜日

ワーカーズネット講座 第21回「 ~内定って,簡単に取り消せるの??~」


1 内定ってなんだろう?
  大分暖かくなり,もう卒業式シーズンですね。卒業後,4月から社会人として働き始めるという方も大勢いらっしゃると思います。
 ところで,社会人となる前には,通常は,就職活動をすることになりますが,この就職活動において,多くの方々は,会社などからまず「内定」をもらい,そのうえで入社することになりますね。ただ,この「内定」とは,一体どういうものなのでしょうか。最近ですと,日テレにアナウンサーとして内定が決まっていた方に対する内定取消しが,問題となっていました。
 会社で勤務をはじめる前の段階の「内定」を取り消すことは,許されるのでしょうか。今回は,この「内定」について,ご説明します。
2 「内定」を受けた人の地位
  内定は,その性質をひも解くと,「始期付解約権留保付労働契約」ということになります。
  ここで最も重要なのは,内定も「労働契約」だということです。一旦契約をした場合には,簡単に,一方的な解約をするということが許されません。ですから,「内定」の段階だからといって,会社が簡単に内定取消しをすることは,許されないのです。
 次に,内定の特徴の1つとして「始期付」であることがあげられます。要するに,学生さんの場合ですと,内定後すぐに勤務を開始するわけでなく,内定後しばらくして卒業後に働くという意味で,勤務の「始期」が決められている「労働契約」となります。
 最後に,内定のもう1つの特徴として,解約権が留保された「労働契約」であるということです。要するに,会社は,内定を出した場合にも,一定の場合には,内定という労働契約を解約できます。しかし,この「解約」が許される場合は,かなり制限されています。これについては,以下で詳しくご説明します。
3 解約権を行使できるのは,どういうとき??
  上でご説明したように,「内定」も「労働契約」です。そうすると,内定を解約するということは,労働契約を会社が破棄するということになります。要するに,「解雇」することと同じなのです。
 ご存じの方も多いかと思いますが,解雇は,その方の生活の糧を奪うことになりますので,わが国では,使用者が解雇をする場合をかなり制限しています。
 そして同じように,内定の解約(内定取消し)をする場合も,かなりの制限がなされているのです。
 では,どういった時に,内定の取り消しが許されるのでしょうか。
 例えば,学生さんが,単位不足で卒業ができなかった場合や
内定時には判明していなかった重大な犯罪歴が内定後に発覚したといった場合です。
 こうしてみると,内定の取消しが許される場合は,非常に厳格にみられていることが分かりますね。

4 最後に
  内定が出されたのに,会社から内定が取り消されてしまった場合には,内定取消の無効,就業予定の時期以降の賃金の請求,損害賠償請求などをすることができます。
 ただ,1点気を付けておきたいのは,内定を受けたこと自体の証拠を残しておくということです。内定通知書などの証拠が残っていれば問題ないですが,口頭でのみ内定通知を受けた場合には,内定を受けたことの証拠を残しておいた方が賢明です。例えば,内定を認めたり内定を前提とした,使用者側との会話内容の録音,内定を受けたことを記載した自身のメモ,会社に宛てた内定の御礼のメール,などといった証拠を残しておくとよいです。
 内定取り消しは,「解雇」と同じなのですが,そういった意識があまり一般的でなく,泣き寝入りを強いられている方も多いと思います。内定に関してお悩みのことがあれば,私たちワーカーズネットに直接メールをくださるか,労働組合,お近くの弁護士,各都道府県の労働局,労基署などにご相談ください!!

ワーカーズネット講座 第20回「 ~お金の問題ではなく命の問題。労働法の労働時間制限の意味~」


日本人は、勤勉です。「終電まで働いた」「徹夜した」ということはよく聞き、それに対して、「頑張ってるね」と応援する文化があります。
現在、国会においても、一定額の年収以上に人には、残業代を払わないという法律成立が準備され、残念なことに大きな反対の声はあがっていません。
労働基準法では、一日8時間、週40時間以上の労働は禁止し、それ以上は残業代が支払われることになっています。
この法律の規制ができた歴史的背景。それは、賃金のアップを求める労働者の動きの中から生まれたものではありません。
資本主義が始まったころ、長時間労働が蔓延、野放しにされ、結果、労働者の多く過労死しました。
そこで、国民の平均寿命が短くなることにより、国家の存立さえも危ぶまれたことにより、労働時間を制限する法律が生まれたのです。
しかし、日本においては、労働法の労働時間規制についての意味を履き違え、残業代さえ支払えば働かせてもいい、という誤った理解のもと、ときにはサービス残業も横行しながら、長時間労働が野放しされていました。
そのため、欧州各国などでは資本主義初期の歴史的遺物として乗り越えられた過労死が、現在でも残ってしまっているばかりか、時代に逆行する法改悪がされそうとしているのです。

働き過ぎは、個人差はあっても確実に心身を痛め、ときに命を奪います。一度損なわれた心身の健康、失った命は戻りません。
長時間労働はお金の問題ではなく、命の問題なのです。
みなさんのライフスタイル、そして、長時間労働規制の改悪について、考えてみませんか。

ワーカーズネット講座 第19回「 ~建設労働 戸建住宅編~」


家を建てる、買うというのは一生もので大変高額な買い物です。
詐欺リフォームや悪徳業者などが問題となったり、工事代金は適正なのか? などその料金設定などが分かりにくいのが建設業界の特徴です。
それでは末端で働いている職人と言われる、建設労働者の実態はどうなのでしょうか。
今回は、戸建住宅建設に従事している大工さんを中心とした職人さんの状況についてみていきます。
建設労働者の2つの形態
 日本の建設労働者は大きく2つの形態で従事しています。
 
常用雇用  日額ベース 日当(日給月給) 例えば、1日働いて16000
手間請負  坪単価(㎡単価) 家一棟建てるのに大工工事は坪単価いくらで契約 
1)常用雇用の場合
  ほとんどの場合が工務店や建設業者に直接雇用されています。
  1日の賃金以外には、残業代や交通費を出してくれる業者もいますが、ない場合もあるようです。
  また福利厚生については貧弱で年金や健康保険は自分もちという問題点があります。
  (社保未加入対策が今行われていますが、この問題については別の機会に)
2)手間請け負いの場合
  一人親方と言われる方たち、又は何人かを雇用し坪単価で請け負う形態。
  一人親方は、実際に労働者として従事しますが、雇用ではなく請負契約です。
  何人か雇用したり、グループで請負している方たちも、親方は労働者として従事しています。
  
  常用賃金よりも単価は高めの場合が多いのですが、
  交通費、ガソリン代、駐車場、金物(釘等)、道具、労災保険(一人親方)、
  健康保険などは自分もちです。
  大工仕事には道具やそれを運ぶ車は必須ですし、
  現場が遠かったり、駐車場をコインパーキング等にいれた場合の経費の総額は、
  10万円以上かかるのはざらです。さらに工期が延びれば1日あたりの単価は下がっていきます。
戸建住宅における主な従事先
・大工さんが勤める従事先はおおまかに言って大きく3つに分類できます。
地域の工務店(小規模零細事業者)
大手ハウスメーカーや地域の大型工務店等
建売り業者(不動産会社やパワービルダーと言われる事業者)
*常用雇用のほとんどは、地域の工務店さんか、
 独立して一人親方になった方などが仕事を多く請け負うようになり
 使用者を増やしていく場合が圧倒的といえます。
*大手ハウスメーカーや建売の場合(又は最近ではリフォーム専門業者、ホームセンター)
 ほぼ工事(大工以外の工事も)に従事する方たちは、手間請け負いの下請業者といっていいでしょう。
建設労働者の実態
 実際の賃金はどうなっているでしょうか?
 首都圏の建設組合が行っている賃金アンケートをみてみます。(25歳~64歳、平均)
 これは末端の労働者が受け取っている賃金調査ですのでほぼ実態を反映しているといえます。
 ・常用賃金の平均は1日約16000円   月額 40万円
 ・手間請け負いの平均は1日約18500円 月額 40万円
 *末端の建設労働者(職人)には、ボーナス(一時金)や退職金はありません。
  (一人親方は自分で掛け金をかける建退共という制度などを活用)
  景気の良いときは、もち代といって年末に10万円とか支給してくれることことが慣行としてあるが・・・
 *全年齢の平均賃金月40万円として、経費負担が月8万円かかったとします。
  32万円×12か月で384万円。
建設労働者の労働実態は厳しい
 日給額だけを見ると高く見えますが、経費やボーナスなどの支給がないことを考えると決して高給とはいえません。また仕事が継続してあるとは限りません。
 手間請け負いの場合、仕事を早く、又は労働時間を長くすることによって、 現場(契約現場)をたくさんこなせば一定の収入を得ることはできます。
 しかし仕事を早くこなすには限界がありますし、結局は長時間労働によって収入の上積みを行っているのです。
今、建設産業は深刻な危機です。
 ひとつは、建設労働者の高齢化です。もうひとつは若年労働者の入職忌避です。
 本来すぐれた技能職種である建設労働が、古い雇用慣行やきつい労働環境など、
 ブラック産業ともいわれるような酷い実態があります。
 こうした状況を打開し若い人に魅力ある産業にするためには、
 末端の建設労働者の処遇改善と人材育成に企業も国も自治体も力をいれていくことが求められています。

(写真は川崎建設労連のパンフレットより転載)

ワーカーズネット講座 第18回「ワークルール教育試論―労働法を学ぶ目的とは?―」


Y弁護士:おなじみ声が大きい弁護士。最近,ぎっくり腰防止の為のストレッチをしている。
E弁護士:Yの大学時代の友人。
Y弁護士の通っていた大学の図書館近くの喫茶店。
Y「ここの喫茶店でよく司法試験の勉強したなぁ」
E「そうだな。Yは,受験生時代,よく『俺の恋人は,六法全書で何が悪い!!』って咆哮していたな」  咆哮とは,ほえること。
Y「ぎゃー!! やめてくれ!! …………
 Y弁護士は,大声を出した。しかし,なにもおこらなかった。
E「どうした?」
Y「いや,いつもだったら。ここで,大声でうるさいなどというツッコミが入るんだが……
E「さすがは,わが母校の周辺の喫茶店だな」
注 学生街の喫茶店でも大声を出しても周囲に迷惑です。大声を出してはいけません。
Y「ところで,最近ワークルール教育の在り方について,いろいろと料簡を巡らせているんだが…… 料簡とは,考えのこと。
E「ほう。どんなこと考えてるの?」
Y「労働相談にのっていると,『先生,それって私のわがままだと思っていたんですが,違法だったんですか?』とか『ひどいと思うんですけど,どうにかなりませんか』など,そもそも,労働者が自らの生活を営む上で非常に重要な権利について知らず,その重要な権利が違法に侵害されているということに気が付いていない人が多いんだよね。だから,まずどんな権利が保障されているのか,労働法の知識を教えていくということは,必要だと思う」
E「そりゃそうだ」
Y「でも,それだけでどうにかなるっていう話でもないと思うんだ」
E「というと?」
Y「イェーリング的な考え方と『労働法』特有の歴史も教える必要があると思うんだ」
E「イェーリングって,1872年に『権利=法のための闘争』(ドイツ語=”Der Kampf ums Recht“)を書いたドイツの法哲学者のことか?」
Y「そうそう」
E「んで,Yがワークルール教育に必要と思う,そのイェーリング的な考え方って?」
Y「不正確だけど,ざっくり言えば,ちゃんと自分の権利を主張しないと法の実効性がなくなって,自分達だけで権利を守っていかなければならなくなったり,最悪,権利自体が無意味になってしまうから,きちんと権利を主張して,法を実効性のあるものにしないといけないっていう考え方だよね」
E「それとワークルール教育がどう関係するの?」
Y「いろいろと労働相談を受けていると,権利があって,それが侵害されているということを噛み砕いて説明しても,大変だからとか,辛いからと言って,泣き寝入りする人も少なからずいるんだよ」
E「ふむ」
Y「もちろん,人それぞれ事情があるし,実際,いざ裁判になると精神的負担やら手間暇かかるから,それらのすべてが悪いなんて言うつもりは毛頭ない。」
E「そうだね」
Y「だけど,そもそも,さっき言った考え方を咀嚼して,実際に自分の腹の底にストンと落とした上で,判断をしているかっていうと,実は,そうじゃない場合が多いんじゃないかなって思うんだよ」
E「ふむ。つまり,Yは,ワークルール教育の中で,『労働法』上認められた権利を教えるだけでは足りず,違法にその権利を侵害されているときに,その権利を主張していかないと,そのうち,今認められている権利がどんどん奪われてしまうことになりかねないということを教えるべきである,そのことを理解した上で選択することができるようになることも目標に入れてワークルール教育をすべきということかな?」
Y「それだけじゃないけど,ざっくり言えばそういった部分もあるかな」
E「なんだか,奥歯に物が挟まったような言い方だな。その挟まったものってなんだい?」
Y「上手く言えないんだけど,ただ,イェーリングの考え方を単純に『労働法』にあてはめて言っても,なかなかイメージを持ってもらず,結局『リアルさを欠いた雰囲気』や『なんとなくの感覚』に寄りかかった『眼鏡』を通した『権利』として理解した上での選択をしてしまうと思うんだよね」
E「というと?」
Y「もちろん『労働法』の分野というのは,当然論理が展開される世界ではあるんだけど,他の法律よりも一層に歴史的な利害対立,すなわち,労使間の階級闘争の歴史という視点や実際に行われていた,あるいは,現実に行われている生命,身体を脅かしかねない構造的な不条理さを抜きには語れない要素が大きいんだと思うんだよね」
E「うーん。俺の友人に,『どんな法律だって,歴史があるんだから,それは違う』というふうに言った人はいたね。でも,賃金の意味合い,解雇権濫用法理,雇止め法理,労働組合の歴史的経緯なんか考えるとそうかもしれない。」
Y「だから,歴史を踏まえた視点から,不条理な現実を実際に具体的に見ていき,その歴史の中で,どういった形で,今当然の如く与えられているように見える権利が権利として成立したのかを学ばないと,『はいそうですか』ということで,無数に散らばっている『情報』を消費するだけになって,そういった『情報』が脳みそを一瞬通過するだけで,結局,血肉とはならないんじゃないかな」
E「実際の問題に直面しないとわからないのは,仕方がないんじゃないの?」
Y「確かに,そりゃ実際に問題に直面して,体験した方が血となり肉となる傾向はあるけど,そんな雑な議論をしたら,安定した生活を営む上で欠くことができない重要な領域において,『愚者は,経験に学び,賢者は歴史に学ぶ』ということを否定することにならないか?」
E「ドイツの宰相ビスマルクの言葉だな……。そうか,じゃあ,いかに体験をなぞるような形で,歴史を学ばせ,今当たり前のごとく横たわっている権利が,自分自身が生きている社会と連続している過去において獲得されたものであり,現在においても権利として保持する闘いが繰り広げられており,未来の世代にわたって,かかる権利が継受されるようにする必要があることを理解してもらうための教育がワークルール教育に必要な要素であるということかい?」
Y「だいたいそういうことかな」
E「抽象的には,わかったけれど,じゃあ,実際に,そのような観点から,ワークルール教育をしていくために,どうするのかい?」
Y「青写真的な一義的な答えはないと思うから,試行錯誤していくしかないよ」
E「なんだか,肩透かしの結論だな」
Y「いやいや,かかる視座をもってワークルール教育を提唱している人であれば,たとえば,労働組合の重要性について歴史的な文脈や憲法と関連させて教育するだろうけど,かかる視座を欠いて無邪気に労働組合の重要性についての説明をすっぽり抜け落としたまま教育してしまう人がいるから,そういった人に対しては有効な視座だよ。さらにいえば,敢えてそのような観点を避け,労働法教育において労働者の義務や自己責任を過剰に強調して教えるべきと考える人の背後にある『邪気』を見透かすことができる有用な考え方だと思う」
E「なるほど。ところで……
Y「ん? なんだい?」
E「この対談を記事にするんだよね?」
Y「ああ。」
E「ちと。難しすぎるんじゃないか?」
Y「……うむ。ここまで読んでくださった方々,ありがとうございました。」
注 この対談はフィクションです。

つづく

ワーカーズネット講座 第17回「~会社が辞めさせてくれない(?!)ときの対処法~」


1 辞めさせてくれない?! 
 ・「辞めたら損害賠償請求するぞ!」
 ・「辞めたいなら代わりの人間を連れてこい!」
 
 近年,「ブラック企業」という言葉をよく耳にしますね。このブラック企業の特徴の1つとして,上のように,「労働者を辞めさせない」というものがあります。
 実際私も,「会社から『代わりの人を見つけてくるまで辞めることを承諾しない』と言われているから,辞めようにも辞められないんです。」というご相談をよくお受けします。
2 法律上,会社が応じないと退職できない?
 労働者が退職を希望しているのに,会社が了承しないと,本当に退職できないのでしょうか?
 答えは,「NO」です。
 退職する場合には,退職を申し入れた日から14日が経過した後に,終了します(民法627条)。要するに,退職を希望する日の14日前に会社に申し入れれば,会社が了承するか否かにかかわらず,辞められるのです。
 なお,就業規則で,14日以前に退職を申し入れることが定められている場合にも,民法627条が優先します。
3 退職の申入れは,どうやってやればいいの??
 では,退職の申入れは,具体的にどうやってすればいいのでしょうか。
 もちろん,口頭でもかまいません。
 ただ後々,言った言わないといったトラブルを防ぐために,文書で提出することを強くお勧めします。退職をする旨と名前,日付を記載し,コピーも取っておきましょう。
 また,会社が典型的なブラック企業の場合には,退職をする旨の内容の文書を提出し,しかもそれが会社に届いたことを証拠に残しておくために,内容証明郵便で提出するとよいです。
 あわせて,残っている有給休暇も使う旨を書いて提出し,退職にあわせて有給を使い切るとよいでしょう。
4 会社が損害賠償請求をしてきたら?!
 上記の方法で,適法に退職をすることができます。
 ただ,会社の中には,いやがらせとして,「労働者が承諾なく辞めたことでこれだけの損害が生じた」と主張して損害賠償請求をしてくる可能性が,ゼロではありません。
 もしその場合には,弁護士などの専門家にすぐに相談しましょう。
私たちワーカーズネットにご連絡くださっても,もちろん結構です。
 
 会社(ブラック企業)からの脅しにより,嫌々働き続けてしまうと,身体や心の健康を害してしまいかねません。決して無理をせず,退職される際には上記の方法をご参考になさってください。


ワーカーズネット講座 第16回 「試用期間は首切り自由期間?」


今回のテーマは、試用期間です。
正社員採用後、一般に数か月間の試用期間が設けられます。
会社は、正社員を採用後、試用期間中は適性があるかを判断することができ、その期間内ではいつでも解雇されても仕方ない、会社は自由に解雇できる、と思っている相談者の方がいます。
 しかし、これは、誤解です。
労働契約法16条では、以下のとおり、使用者の解雇を制限しています。
解雇できるのは、
客観的にも手も解雇されても仕方ないと納得できるだけの理由があり(客観的合理的理由)
かつ
戒告や減給など解雇より軽い手段では足りずもっとも労働者にとって過酷な解雇の手段を選ぶのも社会的にみて仕方ないとされる(社会的相当性)場合
でなければ、無効になるものです。
この法律は、試用期間でもちゃんと適用されます。
したがって、試用期間であっても、会社は自由に労働者を解雇できるわけではないのです。
さらに、試用期間は適格性判断のための期間であっても、少しのミスや能力不足で解雇されるものではありません。
普通、採用されたばかりの社員にミスや能力・技術の不足は当たり前ですよね。会社もそのことを前提として採用しているわけですから、試用期間中も雇用責任があるのです。
裁判例では使用期間中の解雇が認められる場合をごくごく限定的に判断しています。
なお、これもよくある相談ですが、会社は試用期間を勝手に延長することもできません。労働者の職業上の地位が不安定なままの状態にしておくものだからです。

試用期間中に解雇されそうになったら、ミスした自分を責めずに、諦めずに法律専門家に相談しましょう!

ワーカーズネット講座 第15回】「労働組合」


 労働組合の組織率は18%弱という統計となっています。圧倒的多くの方が労働組合に入っていません。職場に労働組合がないと言った方が正確なのだと思います。
労働組合の目的
 労働組合法では、労働組合の目的を第1条に明確に記しています。
「労働者と使用者が対等に交渉するため」
そしてそれは、労働者の地位を向上させるための交渉、働くルール(協約等)を決めるための交渉権の保障であります。
*日本社会でブラック企業、ブラックバイトがはびこるのは労働組合がない、または組合加入者がいないことによる影響力がないことも原因のひとつだと思われます。
労働組合の権限と不当労働行為
労働組合には、使用者と交渉する権限を明確にしています。
そして不当労働行為として、主に以下の点を禁じています。
労働組合への加入の妨害、加入したことを理由としての解雇、組合を脱退することを条件として雇用すること、正当な理由なく交渉を拒む事など。
*使用者優位の中で労働組合のもっている権限は非常に大きいものがあります。
労働組合への加入方法
労働組合の重要性はわかるけど、どこにどういう組合があるかわからない・・・
産業別労働組合
建設・運輸、医療、電機、自動車、情報、教育、港湾、公務など業種別の組合で、一人でも入れる組合があります。同じ産業(業界)ですから、産業独特の雇用慣行への対応など優れた経験や交渉実績などがあります。
地域労組。
産業や業種を問わず一人でも加入できます。労働相談をきっかけとして加入するケースが増大しています。中小零細業者やサービス業に従事している方や労働組合があっても会社いいなりでまともな交渉もしないなど。そうした理由で加入している方も少なくありません。
組合員が一人であっても労働組合に加入すれば使用者との交渉ができます
1人しか組合員いなくとも、交渉することはできます。また使用者との交渉の他に労働委員会に救済を求めることができます。
使用者の違法・不当な行為をあらためさせたり、労働者の要求にそって案件を解決する実績も数多くあります。
一人で悩まず、まずはご相談ください。相談の内容によって労働組合へのご紹介なども行うことができます。