2016年5月16日月曜日

ワーカーズネット講座 第19回「 ~建設労働 戸建住宅編~」


家を建てる、買うというのは一生もので大変高額な買い物です。
詐欺リフォームや悪徳業者などが問題となったり、工事代金は適正なのか? などその料金設定などが分かりにくいのが建設業界の特徴です。
それでは末端で働いている職人と言われる、建設労働者の実態はどうなのでしょうか。
今回は、戸建住宅建設に従事している大工さんを中心とした職人さんの状況についてみていきます。
建設労働者の2つの形態
 日本の建設労働者は大きく2つの形態で従事しています。
 
常用雇用  日額ベース 日当(日給月給) 例えば、1日働いて16000
手間請負  坪単価(㎡単価) 家一棟建てるのに大工工事は坪単価いくらで契約 
1)常用雇用の場合
  ほとんどの場合が工務店や建設業者に直接雇用されています。
  1日の賃金以外には、残業代や交通費を出してくれる業者もいますが、ない場合もあるようです。
  また福利厚生については貧弱で年金や健康保険は自分もちという問題点があります。
  (社保未加入対策が今行われていますが、この問題については別の機会に)
2)手間請け負いの場合
  一人親方と言われる方たち、又は何人かを雇用し坪単価で請け負う形態。
  一人親方は、実際に労働者として従事しますが、雇用ではなく請負契約です。
  何人か雇用したり、グループで請負している方たちも、親方は労働者として従事しています。
  
  常用賃金よりも単価は高めの場合が多いのですが、
  交通費、ガソリン代、駐車場、金物(釘等)、道具、労災保険(一人親方)、
  健康保険などは自分もちです。
  大工仕事には道具やそれを運ぶ車は必須ですし、
  現場が遠かったり、駐車場をコインパーキング等にいれた場合の経費の総額は、
  10万円以上かかるのはざらです。さらに工期が延びれば1日あたりの単価は下がっていきます。
戸建住宅における主な従事先
・大工さんが勤める従事先はおおまかに言って大きく3つに分類できます。
地域の工務店(小規模零細事業者)
大手ハウスメーカーや地域の大型工務店等
建売り業者(不動産会社やパワービルダーと言われる事業者)
*常用雇用のほとんどは、地域の工務店さんか、
 独立して一人親方になった方などが仕事を多く請け負うようになり
 使用者を増やしていく場合が圧倒的といえます。
*大手ハウスメーカーや建売の場合(又は最近ではリフォーム専門業者、ホームセンター)
 ほぼ工事(大工以外の工事も)に従事する方たちは、手間請け負いの下請業者といっていいでしょう。
建設労働者の実態
 実際の賃金はどうなっているでしょうか?
 首都圏の建設組合が行っている賃金アンケートをみてみます。(25歳~64歳、平均)
 これは末端の労働者が受け取っている賃金調査ですのでほぼ実態を反映しているといえます。
 ・常用賃金の平均は1日約16000円   月額 40万円
 ・手間請け負いの平均は1日約18500円 月額 40万円
 *末端の建設労働者(職人)には、ボーナス(一時金)や退職金はありません。
  (一人親方は自分で掛け金をかける建退共という制度などを活用)
  景気の良いときは、もち代といって年末に10万円とか支給してくれることことが慣行としてあるが・・・
 *全年齢の平均賃金月40万円として、経費負担が月8万円かかったとします。
  32万円×12か月で384万円。
建設労働者の労働実態は厳しい
 日給額だけを見ると高く見えますが、経費やボーナスなどの支給がないことを考えると決して高給とはいえません。また仕事が継続してあるとは限りません。
 手間請け負いの場合、仕事を早く、又は労働時間を長くすることによって、 現場(契約現場)をたくさんこなせば一定の収入を得ることはできます。
 しかし仕事を早くこなすには限界がありますし、結局は長時間労働によって収入の上積みを行っているのです。
今、建設産業は深刻な危機です。
 ひとつは、建設労働者の高齢化です。もうひとつは若年労働者の入職忌避です。
 本来すぐれた技能職種である建設労働が、古い雇用慣行やきつい労働環境など、
 ブラック産業ともいわれるような酷い実態があります。
 こうした状況を打開し若い人に魅力ある産業にするためには、
 末端の建設労働者の処遇改善と人材育成に企業も国も自治体も力をいれていくことが求められています。

(写真は川崎建設労連のパンフレットより転載)

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